無人航空機と私(1)

ドローン

「軽野君、社長が探してたよ?」
ある日出社すると、イキナリ嫌な予感しかしない声をかけられた。
こういう案件は、早いとこ処理しておいたほうが良いに決まっている。私はそのままの足で社長室に向かった。要件は、大凡こうだった。
「なんだかよく分からないけれど、ドローンの資格を取っておいた方がよさそうだら、至急調査して費用の稟議書とスケジュールを出しておいて」
返答はもちろん、ハイヨロコンデ。最優先で調査した。結果、意外な事が判明した。
”資格が無くても、ドローンって飛ばせるんだ”
もちろん、条件が色々とある。機体の登録は必須だし、出来ることもかなり限定される。でも、条件が重なると資格無くてもドローンを飛ばしても叱られない(らしい)。そういう事も含めて、ドローン業界の規則(主に航空法)、ビジネスチャンスなどに関して調査した結果を社長に報告して、ネットで調べた教習料金ン十万円の稟議書と一緒に提出しようとした。

残念ながら、ここで別のトコロから横槍がはいった。「その費用はいつ回収できるのか」

そうか、プレゼンを作る必要があるのか。ドローン界隈の調査よりも時間がかかってしまうぞ。色々と考えながら、社長に提出するだけではなくて周辺の雑音を消去する事も目的として、ドローン界隈の話と将来性、そしてウチの会社が関係しそうなビジネスの現在と将来について、パワポで作って提出するには、やはり教習所の説明が聞きたい。話はそれからだ。

先ずは教習所に連絡。話を纏めながら進められるメールを出すことにした。
・初心者であること
・会社から資格をとるように言われたこと
・1等と2等があるらしいけど、どちらがよでしょうか?
・日数と費用が知りたい。出来れば平日は避けたいです。
だいたいこんな感じの内容を、お問合せのページから送信した。そしたら数時間もしないうちに電話がかかってきた。メールでのやりとりでは時間がかかるし、ちゃんと伝わらないし、電話でもいいんだけど面談で説明したい、という事だった。

ドローンの説明を受けるために仕事は休めないし、仕方ない、土曜日か日曜日なら時間とれますって言って、私の大切な土曜日が1日消えることになった。時間と場所を決めて待ち合わせをしたのだが、約束の時間になっても担当者が現れない。場所は間違っていないハズ(なのだが)。せっかくの仕事が休みの日なのだ。こっちも忙しいんだ。何やってるんだと呟いてみても、担当者は来ない。10分を過ぎようかとしたところで、メールに記載があった携帯電話の番号に電話してみた。
つながらない。留守電になってしまう。おやおや?日を間違えたか?
15分を過ぎようかとしたところで、もう一度電話してみた。
今度はつながった。日時は間違っていなかった。よかった。そして担当者は普通に現れた。何事もなかったかのように。
大丈夫か?このスクール。ものすごく不安になってきた。話を聞くだけ聞いて、別のスクールにする事すら考えていた。

いったん話が始まると、この担当者は饒舌だった。話が上手いというわけでもないが、淡々とこちらの質問に応えてくれる。明確に説明してくれる。待ち合わせの時間に遅れてきたことなどなかったかのように。
この時に色々と教えてもらった事が、後に社長に説明(プレゼン)するときの資料作成にとても役にたった。その要点は
・資格がなくてもドローンは飛ばす事ができる
・仕事で飛ばす場合、資格があった方がお客様は安心する
・1等は輸送するなら必要だが、そうじゃなきゃ不要。2等で十分。
・農薬散布のドローンは別物だと考えて欲しい。(ウチは散布しない)
・教習は連続した4日間の方が実技試験が受かり易い。
・学科試験は別のところに受験しにいかなければダメ。
ポイントポイントでは、かなり根掘り葉掘り聞いたけど、ちゃんと教えてくれたし、社長の説得材料にもなった。
結果、【基本コース】+【目視内限定解除】にした。昼間限定解除はやめた。自分でとりに来よう。見積書を出してもらって、社長に提出用プレゼンのパワポと合わせて提出した。
ここでまた横槍がはいったw「その費用はいつ回収できるのか」
正直いって、分かりません。これからの分野なので。

ドローンの教習代は、決して安くないです。普通自動車の教習並みです。
「それだけの費用をかけて、いつまでに回収できるのか?」
もっともです。正論です。何も言い返せません。「いつまでに」どころか「いつ」回収できるかもわかりません。が、これは社長判断なんです。今の内から免許とっていて、イザ必要になったらサッと使えるように、と。
納得はしてもらえていない。前途多難なのは間違いなさそうだ。

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